オフィスからの安全な避難経路:確認すべきポイントと実践的な行動
災害は予期せぬ瞬間に発生し、特にオフィスという見慣れた環境でも、突然の状況変化に戸惑うことは少なくありません。いざという時に冷静かつ安全に行動するためには、日頃からの準備と正しい知識が不可欠です。このページでは、オフィスからの安全な避難経路の確認方法、避難中の具体的な行動、そして日頃から意識しておくべき点について解説します。
1. 災害発生直後の初期行動:まず身を守る
災害が発生した際、最も重要なのはまずご自身の身の安全を確保することです。揺れや警報を感じたら、状況に応じて迅速かつ落ち着いて行動しましょう。
- 地震の場合:
- 姿勢を低くする: 机やテーブルの下にもぐり込み、頭部や体を保護します。
- 落下物・転倒物からの保護: 周囲に目を配り、ロッカーや棚、照明器具など、落下・転倒の危険があるものから離れてください。
- 扉や窓の確保: 閉じ込められることを防ぐため、近くの扉や窓を開けて避難経路を確保する準備をします。ただし、開けたままにしてガラスの飛散を防ぐため、安全な場所に身を寄せます。
- 火災の場合:
- 大声で周囲に知らせる: 「火事だ!」と叫び、周囲の人々に危険を知らせます。
- 初期消火: 火が小さいうちは、消火器などを用いて初期消火を試みます。ただし、自身の安全が最優先です。無理はせず、火が手に負えないと判断したらすぐに避難に移行してください。
2. オフィスからの避難判断:脱出か待機か
初期の身の安全確保後、次に判断すべきは、オフィスから脱出するのか、あるいはオフィス内に留まり待機するのかという点です。この判断は、会社の定める避難計画と、発生している災害の状況に大きく左右されます。
- 会社の避難計画の確認: ほとんどのオフィスビルには、災害時の避難計画が策定されています。この計画に基づき、ビル管理者や防災担当者、上司などの指示に従うことが最優先です。
- 状況判断の重要性:
- 火災の発生状況: 火元がどこか、煙の状況、延焼の危険性などを確認します。
- 建物の損傷状況: 建物の壁や天井、窓ガラスなどに大きな損傷がないか確認します。
- 二次災害のリスク: オフィス外の状況(道路の損壊、津波の危険、さらなる揺れの可能性など)によっては、むやみに外へ出る方が危険な場合もあります。テレビ、ラジオ、スマートフォンの災害情報アプリなどを通じて、正確な情報を収集することが重要です。
3. 安全な避難経路の確認と選び方
避難が必要と判断された場合、安全な経路を選び、速やかに避難することが求められます。
- 会社の避難計画図の確認:
- 皆さまのオフィスには、必ず避難計画図が掲示されています。この図には、非常口、非常階段、避難経路、そして最終的な避難場所が明記されています。日頃からこの図を確認し、ご自身の席から非常口までのルートを把握しておくことが極めて重要です。
- 非常口や非常階段の場所は、地図や図解で位置を確認しておくと安心です。
- 複数の経路の把握:
- 災害の状況によっては、メインの避難経路が使用できない場合があります。火災による煙の充満、落下物による通行不能などが考えられます。そのため、主経路だけでなく、複数の副経路も事前に確認しておくことで、いざという時の選択肢が増え、安全性が高まります。
- 経路上の危険箇所の想定:
- 避難経路となりうる通路や階段に、日頃から物が置かれていないか、開閉に支障のあるドアはないかなど、潜在的な危険箇所を把握しておきましょう。地震時には、棚からの落下物や什器の転倒などが起こり得ます。
4. 避難中の具体的な行動と注意点
避難経路を移動する際には、以下の点に留意して行動してください。
- 落ち着いて行動する: パニックにならず、冷静に周りの状況を把握しながら行動します。
- エレベーターは使用しない: 災害時は停電や故障のリスクがあるため、エレベーターは絶対に利用せず、非常階段を使用します。
- 手すりを利用し、足元に注意する: 階段の昇降時は、手すりをしっかり握り、段差や落下物、足元のガラス片などに十分注意してください。
- 誘導員の指示に従う: ビル管理者や防災担当者、警備員など、避難誘導を行っている人の指示に必ず従いましょう。
- 無理な行動は避ける: 煙が充満している場所や、炎が上がっている場所には決して近づかないでください。煙の中を移動する場合は、姿勢を低くし、濡れたハンカチなどで口と鼻を覆いましょう。
- 持ち物は最低限に: 避難の際は、貴重品や携帯電話など、最低限必要なもののみを持ち、両手は空けておくのが理想です。
5. 避難場所での留意事項
指定された避難場所に到着した後も、安全確保のための行動は続きます。
- 指定の集合場所へ移動: 会社やビルが定めている一時集合場所や広域避難場所へ移動します。
- 安否確認の実施:
- 会社の指示に従い、従業員の安否確認を行います。
- 家族や関係者への連絡手段として、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171)の活用を検討してください。これらは、電話が繋がりにくい状況下でも、安否情報を登録・確認できる公衆サービスです。利用方法は事前に確認しておくことをお勧めします。
- 情報収集の継続: 避難場所でも、ラジオや携帯電話などを通じて、引き続き正確な災害情報を収集しましょう。
6. 日頃からの準備と意識
災害発生時に的確に行動できるよう、日頃から以下の点を意識しておきましょう。
- 避難訓練への積極的な参加: 会社の避難訓練には積極的に参加し、実際に避難経路を歩いてみることで、いざという時の行動イメージを具体的に掴むことができます。
- オフィス周辺の地理の把握: 会社から避難場所までのルートや、周辺の安全な場所、危険な場所などを日頃から把握しておくことも大切です。
- 家族との連絡方法の確認: 災害時に家族とどのように連絡を取り合うか、事前にルールを決めておくことで、ご自身の安否だけでなく、家族の安否確認もスムーズに行えます。
まとめ
オフィスでの災害は、いつ発生するか予測できません。しかし、日頃からの準備と正しい知識があれば、冷静かつ安全に行動し、ご自身の命を守ることができます。本記事で解説した内容を参考に、皆さまが安心して業務に励めるよう、ぜひ今一度、オフィスからの避難経路や行動について確認してみてください。